左 馬(ひだりうま)
馬の文字の『鏡文字』や、『頭が右で尻尾が左』の馬の絵
■左馬とは…いわれ・意味・由来■
「うま」を逆から読むと「まう(舞う)」であり、
舞が祝賀で催される事から、招福の象徴。
「左馬」の姿が「右に出るものなし」とか
「左団扇」に通じる大吉兆の象徴。
人を乗せた馬は、左に倒れないいわれから不倒の象徴。
「馬」の字の下部分を巾着形の財布と見立て、口が締まってお金が散逸しないとして富の象徴。
お客さんを馬に乗せて、連れてくる時には、案内人が口輪をとって左側に立った事から向かって左の馬を「商売繁盛」の象徴。
三味線の胴に左馬を書く芸者さんの心意気の
「格好いい」「粋」を転じて「縁起がいい事」の象徴
それらを繋ぎ止めるものとして、
馬を逃がさない意味で字を逆にして、『左馬』としました。
故に、左馬は縁起の良いものとされています。  
■左馬の茶碗■
「馬」の絵(頭が右で、尻尾が左)、
「馬」の文字の『鏡文字』が書いてある飯茶碗の事です。
初窯で焼く飯茶碗は、【左馬の茶碗】といい、
これで御飯を食べると、中風にならないと云われ、
縁起の良い物とされています。
新築した窯で、はじめて焼く作品に限定してつける為、
作家の一生のうちで 数多く作られることがない記念の品です。
「左馬は縁起が良い」説と、
「新築の家の初風呂に入れば中風にならない」とか
「初物を食べれば75日長生きをする」などという
素朴な初物信仰とが一緒になって、
初窯で【左馬の茶碗】を焼くという習慣になったと推測されます。
現在では、飯茶碗の他食器全般につけられる事が
多くなっています。

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備前焼 渡邊琢磨