列車に乗って


  夏になったら列車に乗って

  二人で旅に出よう

  ローカル線の木の座席は

  長旅にはちょっと辛いけれど

  木々の緑と窓からの風が

  そんな事忘れさせてくれる



  君の髪を乱す風を

  見ているうちに 僕は

  一万年も昔の事を

  思い出してしまったよ



  あの頃君は葉を茂らせて

  真っ直ぐに伸びる若木で

  僕は君の梢を揺らし

  吹き過ぎる南風だったね

  こうして もう一度会えたのは

  本当に奇跡みたいだ



  おや そんな事を考えるうちに

  窓の外には熱帯の花が

  狂ったような色で咲き乱れ

  列車の進む遥か先

  地平は七色に輝いて

  翼のある人達が手招きしてる



  だから さあ

  二人で列車に乗って

  世界の終わりを見に行こう


 年末恒例、テーマ特集のお題は[風]でした。
 何故か、この『誰かと二人で世界の終焉(もしくは「周縁」)へ』という終末的イメージが頭から離れない。それは列車であったり真っ赤なオープンカーであったりするのだが。
 同じようなモティーフで最近気になったのが、アニメ『少女革命ウテナ』の中のシーンだが、これに関してはどっか別の場所に書く予定。
 ちなみに、この列車はトリバンドラムから南下してカニャークマリに向かうインドの列車を思い浮かべつつ(そのとき同行者はなく一人だったが)。でも熱帯の花々はタイの鉄道だな。インド南端の鉄道は、細密画のように重なった椰子の葉ばかりが思い出される。


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