Maya
「なぜ 声をかけてくれなかったの?」
「だって 答えてくれるとは
思わなかったもの」
姿も 形も 生き方も
あまりに違いすぎたので
互いに気付きさえせず
行き過ぎていたかも知れない二人
「
「うん あった気がする」
相手がいなかった時を 二人は
もう思い出すことさえできない
忘却はエリクシール 甘い恩寵
そして永い夢の
二十万の日が二十万の夜と入れ替わり
四百億の年が新たな四百億に埋め尽くされ
同じカトゥン 同じハアブ 同じツォルキン
その時二人は再び出会う
「なぜ 声をかけてくれなかったの?」
「だって 答えてくれるとは
思わなかったもの」
巡る
数百劫の時を隔て
幾度となく繰り返されるこの日 この時
「
「うん あった気がする」
再び
忘却はソーマ 神々の甘い恩寵
'91年特集テーマ[予感]への応募作。
古代マヤとインドの