白い糸の伝説(II)踊る人形


  (物語は糸の張り巡らされた部屋で始まる

   太い白糸の他は壁さえも見えない

   微かな風が吹き 伴奏が流れ始める)



   ぴゅるるぅるぅるるるん

   ぴゅるるぅるぅるるるん



  白いシナプスの琴線が振れる

  清涼な髓液を滴らせながら

  複雑に絡み合った神経繊維を辿ると

  一体の人形の頭に繋がっている



   ぴゅるるぅるぅるるるん

   ぴゅるるぅるぅるるるん



  琴線が共鳴し 音を奏でる度に

  遠くで人形が踊り出す

  頭頂で配線ワイアの接点が火花を散らす

  針金細工の身体 痙攣のダンス



  近く遠く 響き合う糸

  踊り続ける操り人形

  燃え尽き焼け切れて仕舞うまで

  頭蓋の中でダンスは続く



   ぴゅるるぅるぅるるるん

   ぴゅるるぅるぅるるるん



  狂った目をしている

  見開かれた目

  死んだ魚の目

  いつでも 遥か彼方の

  人形の踊りを眺めている

  裏返された世界の旋律が揺れる



   ぴゅるるぅるぅるるるん……


 『ぴゅるる〜』の擬声音が七行は多すぎとの評を頂いた。じつはこれ、自分の中ではメロディを伴っていたりするのだけど。そこまでは伝わらないよね。
 こういうのは朗読すると良いのかも知れない。


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