ピンクのバナナ


  ジャングルの奥で 探検家は

  ピンク色のバナナを発見した



  そこだけ疎らな木々の間から

  柔らかに降り注ぐ陽光が

  幻想的ファンタスティックな光景を照らし出す

  たわわに実るピンク・バナナの大樹



  房からもいで皮を剥くと

  真っ赤な果肉 真珠色の種

  一口齧ると半生の苦楽を

  全て忘れるほど甘かった



  探検家はその夜

  自分が宇宙になった夢を見た



  虚空の銀河の星々を創造し

  百五十億年かけて地球を 生命を造った

  その地球で生まれたのは

  彼に良く似た探検家で

  自分そっくりに旅に出る様子を

  宇宙になった探検家は

  面白そうに眺めていた



  やがて探検家はジャングルに分け入り

  世にも珍しい

  黄色いバナナの樹を見付けた

  (バナナは当然

  ピンク色だと信じていたのに)



  きっと その種なしの

  クリーム色の果肉を食べて

  探検家は今夜宇宙になるのだろう

  その夢の中で もう一人の探検家が

  紫色のバナナを見付けるかも知れない



  最初の探検家

  空色のバナナを見慣れていた彼が目覚めるのは

  まだ五百億年も先の事


 邯鄲の夢とかインドの永劫回帰する宇宙観とか入ってます。詩の形になってるけどSFかな。
 三連目、『もぐ』という字は手偏に∴カ。


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