小舟の上
宇宙の構造を知っている
世界の繋ぎ目が見える
僕は誰?
それは僕であって
宇宙自身であった
一晩に数千億の時を越え
喜びと苦しみの狭間を通り抜けた僕は
世界の形を保つ事
人間で 自分で在り続ける事が
どんなに難しい事であるかを知った
綻び解れた時空の
生の希求のみを恃みに再構成され
再び僕は戻って来た
脆くとも掛替えのない肉体の殻の中に
波に揺られる小舟のような
この物質世界だけれど
人が人として為すべき事は
全てこの内に在る
美しき 素晴らしき
愛すべきこの世界に
祝福を
'89年末の特集テーマ[波]への応募作品。
この元になった体験は、映画『アルタードステイツ』をご存知ならそれが一番近い。