妖精
逢魔 丑三つは疾うに過ぎ
東天白み始める其の刹那
闇に紛れていた天使や
煙のように 白い輪郭を残し消えて行く
天上の一瞬が 地の底の数千年が
此の地上で
歌声も呪文の響きも消え
静寂が光に姿を変えて行く
人々の夢の泡は
或は弾け 或は地の果てへと流れ去る
仲間の退いた後
一人残った明星が名残を惜しんで瞬く
君は
夜明けに取り残された
天使に貰った歌と悪魔が呉れた囁きで
僕の心を掻き乱し 張裂けそうな鼓動
其の肌の輝きに刺され
僕はもう何も見えない
君の姿の他には何も───
君が好きだ 大好きだ
此の世界中で 一番
悲しい程に 泣きたい程に
君は素敵だ 死ぬほど素敵だ
どうしようもなく
今日も又 一睡もせず朝を迎える
夜明けが怖いのは 君が
光と共に消え去ってしまいそうだから
ああ 僕の妖精 どうか どうか
いつまでも此の地上から 僕の目の前から
いなくなってしまわないで
まっとうな、気恥ずかしいような恋愛詩に見えますな。
高校生くらいの時の気持ちだっけな。これは。