棒杭


  繋がれているのを忘れて走り出そうとすれば

  躓き倒れてしまう

  いつの頃からか私の足は

  一本の棒杭に結び付けられている



  自ら綱を断ち切る勇気もなく

  棒杭が腐れ落ちるのを待つことは

  罪なのだと知ってはいるが

  他に為す術もなく



  つい今しがたまで

  それに支えられて立っていたのも忘れ

  一人で歩き回れるようになったからと言って

  棒杭が消えるのを望むのは

  許されることではないのだが



  世界に憧れている

  見も知らぬ場所まで駆けて行きたい

  しかしこの綱を断ち切れば

  「希望」を失った棒杭は

  萎えて倒れる

  ───私の所為せいで!



  今日も棒杭は

  私が歩けることも知らぬかのように

  保護の名目の下

  私という希望を繋ぎ止めている



  せめて もしこのまま動けなくなり

  一本の棒杭になってしまったとしても

  他の誰かを繋ぎ止めるような

  そんな杭にはなるまいと望む


 年末の特集[家族]への寄稿。とか書くと隠喩どころかミもフタもない。
 考えてみるとあんまり成長してないなー。僕。


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