果実の呪縛


  蛇口から水滴が落ちる

  冷たい台所キッチンの床で

  蹲って林檎を齧っている



  白い壁 自分の膝の温もり

  赤い林檎 赤い 赤

  甘い血の色 真っ赤な歯触り

  滴る音が時を刻む



  遠い遠い昔 つい昨日の事

  明日 明後日 その先の先

  だけど林檎を齧ってる これは今の僕

  僕の「今」 僕の 僕の林檎の中に

  昨日も 明日も 僕も この地球ほし

  宇宙の全部が真っ赤な色の中



  アダムとイヴが齧った禁断の実から

  こぎと えるご すむ

  こぎと えるご すむ

  永遠の逆説パラドクスが天球に反響こだまする

  その嘘に気付いても

  怖くて耳を逸らせない

  悪夢の花咲くあの頃に戻れない



  林檎の毒で死ぬことができずに

  白雪姫にもシンデレラにも成れないと知った日から

  少年は少年ではなくなってしまうんだね



  だったら僕はもう少し

  子供でいられるかも知れない



  こぎと えるご すむ!

  こぎと えるご すむ!!

  時間の呪縛の此方こちら


 偏執狂と神話とナルシシズムをごっちゃにしたような、自分の作品の一種の典型かも知れない。


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