十九時発星空行き


  夜行の長距離バスが車内灯を消す

  窓からの空一面に星が広がる

  都会では見えない 星と星の間にまた星

  闇を埋めつくすほどの満天の星々



  バスが走るにつれ遠くの山影も動くのに

  星たちはその位置を変えようとしない

  遠い はるかに遠い星の住処



  あの山の向こうにも星があって

  そのずうっと下にも星があって

  この地面の裏側にも星があって

  たくさんたくさん星があって───



  気がつくと

  周りじゅうを星に囲まれ

  僕は夜空を漂っていた

  手を伸ばすと天球は

  肌にひんやり冷たかった



  きっと

  遠い彼方の地上では

  眠ったままの僕を乗せて

  バスが走っているんだね



  ───旅の中の旅 人生の中の人生

  何だっていいさ 焦ることはない

  所詮はみんな 夢の中の夢なんだから

  そんな星の呟きを

  僕は夢うつつで聞いていた


 たしかこれはチェンマイからバンコクに向かうバスの中。ひとつ前の『夜の噴水公園』と同様、帰国してかなり経ってから思い出しつつ作品に纏めたように思う。
 なんかまだ稚拙でお恥ずかしい限り。


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