一、人として大切なもの
 人間は動物ですが、他の動物と違う点は思考力が優れているところです。
しかしながら、その思考力が悪い方向に向いて行くとどんな生き物にも劣るのが人間です。
せっかく人間に生まれてきたのだから、人間としての優位な部分を最大限に生かさなければなりません。
 今、社会の中で欠けているものは、人間が本来持ち合わせている助け合いの精神が無視されつつあることです。現在社会の歪みである、「いじめ問題」にしても、人間愛の欠如が原因だと考えられます。
 古来より、人間は知恵を出し、お互いが助け合うことで生活を営んで来ました。
その中で育まれて来た豊かな感受性が、今失われつつあることは大きな問題です。
 日本は物質的には豊かになりましたが、反面、心は貧困の一途を辿っており、社会全体でもう一度、考え直さなければいけない時期にさしかかってきています。
 現在の社会情勢は、大人として決して子供たちに誇れるものではありませんが、夢や、希望を失わせないようにする事が、大人や社会の務めではないでしょうか。
「人として大切なもの」もう一度、お互いに考えてみましょう。
  
二、生きるということ
 人は皆、誰しもが悩みを抱えながら、生きています。
その悩みや、苦しみを乗り越えていくのが人間の性であり、また、幸せを感じる事にもつながります。
 「苦しみがなければ、楽しみもない。悲しみがなければ、喜びもない。」人間として生きているということは、本当に素晴らしいことです。
 もし、野に咲く花や、森の木であったとしたらどうでしょう。生きている実感を味わえるでしょうか・・・。命の尊さをしっかりと把握すれば、自殺という、短絡的な行動は考えないのではないでしょうか。
 人間に生まれて来た喜びをしっかりと噛み締めて、「生きる」ということを、「生かされている」と考えれば、また違った人生観が生まれてくるはずであり、また、生きることは、自分一人の問題ではないことも認識する必要があります。
 今日を精一杯生きていくことが明日につながることをいつも考えながら、希望を持って生きて行きましょう。
  
三、感謝の心を持つこと
 時として、人は「感謝」と言う言葉を忘れてしまいがちです。
私もその一人であり、また、誰しもがそうであると思います。例えば、病院に見舞いに行くと、さまざまな人達が怪我や病気に苦しんでいます。
 そんな光景を見ると、可哀想と思う反面、つくづく健康な自分に感謝します。
しかしながら、一歩外に出ると、健康は当たり前になってしまい、何もなかったかのように日々を過ごしてしまいがちです。
 人間は完璧な生き物ではありませんが、時として、自分だけで生きているような錯覚に陥りがちです。
 親に、人に、物に、お金に常に感謝の気持ちを持ち続けることが、より豊かな気持ちにさせてくれるのではないでしょうか。
 わかっているようでわかっていないことが、あまりにも多いと思う今日この頃です。生きている限り、お互い感謝の気持ちを持ち続けましょう。
   
四、子供の成長
 人は皆、我が子の成長に期待を賭けます。しかし、それゆえに賭け過ぎる期待は、子供の成長にさまざまな歪みを生じさせることもまた事実です。
 子供にとって親は、世界で一番かけがえのない大切な見方なのです。子供に期待するあまり、無理なことを強要する親をよく見かけますが、はたしてそれでいいのでしょうか。
 「いい学校に行かないとだめ」とか、「いい会社に勤めないと出世しない」とか、親の勝手な判断で学校や会社を評価していますが、子供にとっていい学校とは、「その子の望むことが勉強出来る学校」であり、またいい会社とは、「自分がやりたいことを評価してくれる会社」なのです。
 社会においても、実力を問われる時代になりました。子供の個性を最大限に発揮させることこそが、今からの親の課題です。
 子供の人格を無視していけば、おのずと親子関係は崩れ去ります。最初に書いたように、かけがえのない味方から見放されるのが、子供にとって一番辛いことですし、また、親にとってもこれほど悲しいことはありません。そこを充分理解して、子供の成長を見守りましょう。
  
五、親として思うこと
 私は皆さんに教えられるほど、立派な親ではありませんが、自分なりに教育持論を持っています。
 それは、悪いことをしたら必ず叱り、善悪をその時に子供に問い正すということです。子供は大人が思う以上に感受性があり、ゆえに環境に流されやすく、ひとつボタンを掛け間違えると、とんでもない方向へ向かうものです。
よく、叩くことが暴力だと言いますが、親が我が子を叩くことが暴力と言えるでしょうか。親が、親子関係の中でそれが許されないと思うことは、非常に危険ですし、また、寂しいことだと思います。今の時代に誰が我が子を叱りつけてくれるでしょうか。
 ただし、正当な理由もなく、力を振るうことは絶対に慎まなければなりませんし、理解させることが肝心です。
 正義のない力を暴力と考え、正当な理由がある力を愛のむちと思い、子供の健やかな成長には、親として正面から向き合う姿勢が大切だと思います。
   
六、武道における教育効果
縁あって今、合気道を通じて子供の指導をしておりますが、私は教育者ではありません。したがって、武道を通して教えられることは、基本的に体力強化や、礼儀作法、根性、忍耐力の養成にとどまります。
 しかしながら、最近の時世を考えますと、ある種の道徳教育も取り入れなければならないことが、子供たちを見ていて思います。
 武道が、人間教育として優れていることは昔から言われていますが、昨今の少年犯罪を振り返りますと、精神的に幼稚な青少年が多いのに気付きます。
 殺伐とした競争社会の中で、時代に取り残された少年たちの犯罪は、今後増加の一途を辿るのではないかと危惧されます。
 今、合気道の中で指導していることは、何事も一生懸命真面目にやれば、誰でも救われるということを教えています。どんな子供でも、まず自信をつけさせることが何よりも大切であり、また、自信がつくと何事にも積極的になります。合気道の少年部審査は、このことに主眼を置いています。
 「子供は社会の宝」である事を肝に銘じて、これからも出来る限り、指導していきたいと思っています。