素っ裸の木の上に
取り忘れた石榴が一個
いやしいカラスについばまれて
痛さにブルブル震えてる

石榴は人間の肉の味がするという
そしたらあの紅玉の一粒一粒は
淫らな女の粘膜の味がするのかもしれない

痛いなら泣けばいい
泣かないなら 居ないも同じ
黙っていたら 死んだも同じ

血の体液を流し 石榴は果てる
残ったのは ひからびた亡骸(なきがら)だけ