夜は飛べない

鳥は夜飛べない・・・・・・・・・・・

僕は少し前から
バス停の屋根の上で考えていた
なぜ僕は夜飛べないのか
鳥だから
鳥の目は夜見えないから

僕はいつも考えていた
理由はそれだけ?

鳥は夜飛べない・・・・・・・・・・・・
人の作った定説に
僕らが縛られてるだけなんだ

ほら、あそこにあるポプラの木
夜になったらあそこまで
飛んでみようか

見えないまま飛んだら
どうなるだろう
ちょっとだけ想像してみた
ほんのわずか方向を間違ったら
地面に叩きつけられて死ぬだろう
成功したら
・・・・・・・・・・もし成功したら
僕は
他の鳥ができなかったことをやる

僕はまだ考えていた
飛びたいけど 死にたくない
死にたくないけど 飛んでみたい
飛ぶならいましかない
年老いてしまったら
飛べないことになんの疑いも沸かず
そうなったらもうお終い
やっぱり飛ぶならいまなんだ

すぐそこじゃないか
昼間はあんなに楽々飛べるじゃないか
暗闇だって平気さ
見えなくたってこわくない
<BR>
・・・・・・・・・・・・・・・・でも
失敗したら
骸(むくろ)は誰が葬ってくれる?
僕の亡骸は猫の餌食になるか
北風に吹かれて氷になるか
なによりも
他の鳥たちにあざ笑われたくない
「みろよ、奴はバカな鳥だ」と
笑われるのは絶対に嫌なんだ

僕はいつまでも いつまでも
バス停の上で
考え続けていた