陽の光が感じられない風景。
どんよりと曇った空と、灰色の海、荒れた波。
泥と雨と暗い森。

6才で言葉を失った女性エイダとその娘は、まだ見ぬ再婚相手の元へ、
最愛のピアノと一緒に嫁ぐ。
浜に着いた2人を迎えに来た夫は、足手まといになるからと、ピアノを
浜に置き去りにしてしまう。

エイダの弾くピアノは、聴く人の心を決して癒すことはない。
陰々と響く旋律は、心にきりきりと突き刺さるガラスの破片のよう。
なぜなら、ピアノは失ったエイダの言葉そのものだから。
かたくなに閉ざした魂そのものだから。

エイダの魂を浜に置き去りにした夫は、さらにピアノを学問もなく
ピアノも弾けない男に、土地と引き替えに譲ってしまう。
夫に命じられるまま、男の元にピアノレッスンに通うエイダ。
そして軽蔑は好意に、好意は愛情に変わっていく。

二人の関係はやがて夫に露呈し、エイダは夫によって、かけがえのない
ものを永遠に奪われてしまうことになる。
エイダはそれと引き替えに、男との愛を貫き夫の元を去る。
そしてラスト、船の上からピアノと共にそれまでの自分自身を
海の底に葬ったエイダは、ようやく長い間の呪縛から解き放たれた。

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重い作品だったけど、心に深く残る一本でした。
それにしてもあの当時の女性って、あんなぶん長いスカートはいて
泥道こいで歩いてたのね。
すそなんかぐっちゃぐちゃ。洗濯大変そう。
で、コルセットだの、スカート広げるフープみたいなやつとか
いっぱい身につけて、トイレの時とかいちいちめんどいやんけー。(爆)