日没
海が
太陽を呑み下そうとしている

ここまで来るのにだいぶかかった
たった一瞬
日没を見るために来た私を
太陽はあざ笑う

山に住む者は
真冬に海の夢を見る
耳に響くのは海潮音
そして幾つもの山々を越え
たしかに潮の香りを嗅ぐ

陽は没し
あとには焼けた水平線が残る
塩を含んだ風と共に