開花
風のない縁先で
花は 苦しげに身を震わせる
人は 息を詰め
遠まきに見つめる

深呼吸するように
つぼみが口を開く  うっすらと
無音の吐息が部屋に満ち
甘やかな香りに 人が酔う

開花は  産みの苦しみ
いまわのきわの
艶やかな変身
苦痛の代償は短い命
差しのべる人の手を拒み
散り果てるまで