ジャムを煮る
とれたての赤い実を
ホーローびきの鍋に入れ
たっぷりの砂糖といっしょに火にかける
やがてわきあがる 純粋(ピュア)な魂をすくいとると
底には赤黒い半溶液がひとかたまり

火曜の午後にジャムを煮る
休日に摘んだ無垢な果実に
嘘とほんとと ほんのひとしずくのレモン
ゆっくりゆっくり 煮つづける
艶やかに赤く 限りなく不純
せつないほど甘く 燃えるように淫靡

昼過ぎの公園からは 子供たちの声
出窓には 陶器の天使

平和な瞬間と引き替えに
手に入れた秘密を放り込んで
静かに 静かに かきまぜる