9才の亡霊
ひさしぶりに山を歩いたら
9才の時のわたしに会った
少女のわたしは白いワンピースに
髪はおさげに結んでいた
わたしの横を通り過ぎ
ふりむいて呼び止める間もなく
9才のわたしは
木の間からこぼれる春の陽に
溶けるように消えていった
まるで亡霊のように